■アジアクエストは上場ゴールではない。アジアクエストの目指す場所
ー本日は第1回目のインタビューということで、昨今話題の「上場ゴール」をテーマにお話をお伺いさせてください。2024年はグロース市場が盛り上がりませんでした。2020年の秋ごろをピークにグロース市場は低迷しています。この現状をどう見ていますか。
グロース市場全体の値動きについては特段気にはしていませんが、昨今東京証券取引所ではグロース市場の改革に向けた様々な方針や施策が議論されており、市場活性化につながることが期待されています。その一つに、IPO後もM&Aの活用等の選択肢も視野に入れたうえで果敢に成長に向けたチャレンジを行うべきというメッセージがあると理解していますが、アジアクエストは元よりIPO後の成長を重視しています。
ー日本は小型のIPOが多いという指摘も最近耳にします。アジアクエストは2021年12月にIPOをしていますが、当時IPOに向けてどんなことを考えていましたか。
当時はコロナ禍の影響が今よりもずっと大きく、テレワークなど社会に様々な変化が目に見える形で起きていました。そのような環境変化の影響でIPOを行う銘柄の中でIT銘柄の割合が増えたと個人的に感じていました。
コロナ禍そのものは社会に大きな爪痕を残しましたが、誤解を恐れずに言えば当社の事業であるデジタルトランスフォーメーション領域においては結果的に追い風になりました。
2022年初頃から、グロース市場を中心に株式市場の下落局面があったと記憶しています。市場環境が悪化するとIPOを取りやめる企業も出てくることがありますが、下落局面の前に上場できたことは幸運だったと考えています。実際下落局面を受けて、上場を中止や延期した企業もあったと認識しています。
ーIPOをそのタイミングで決意した理由はなんですか。
IPOのタイミングについては二つの視点があります。一つは既存の投資家目線で、これはその時にIPOをすることで自社のバリューを最大化できるタイミングかという視点です。二つ目は企業目線で、自社の成長を考慮した際に最適なタイミングであるかという視点です。
アジアクエストにおいては創業した時からIPOがスタート地点であると考えていました。
とにかく早くスタートに立ちたかったのです。IPOした後も成長曲線に乗り、その後も企業価値を高めていくことを第一に考えていましたので、当時は自社バリューの最大化という観点よりも、早くスタートを切ることを優先していました。
ーなぜ自社の成長にこだわるのですか。
創業初期の頃から、デジタルインテグレーション領域においてアジアNo.1を目指すことをずっと目標に掲げて邁進してきました。当面の数値目標としては売上高成長率20%以上、営業利益率10%以上を確保というラインを設定しましたが、No.1というのは単に売上規模だけの話ではありません。顧客に真に寄り添い、顧客ビジネスのデジタルトランスフォーメーションに真に貢献できる企業であるかという観点も含まれています。その文脈でとにかくNo.1になりたいと考えてきました。今でもその思いは変わりません。特にアジアに展開する日系企業に対してIT支援を通じて海外での彼らの成功を助け、日本を強くしたいという想いがあります。
ー昨今「上場ゴール」銘柄が多いとグロース市場で言われる現状について思うことはありますか。
企業の限界はトップがどこを目指すかで限界が決まると考えています。そのため、トップが大きなビジョンを掲げることが重要です。そういう意味ではトップはビジョンを常にアップデートし続ける必要があります。アジアクエストはまず初心の、デジタルインテグレーション領域におけるアジアNo.1企業というビジョンを実現し、その後ビジョンをスケールアップさせていきたいと考えています。
ー現時点でそのビジョンの達成状況はどれくらいだとお考えでしょうか。
まだ目標の4~5%程度しか実現できていないと感じています。今はもっと売上収益を拡大し、まだ道のりは長いが100%に近づいた状態のアジアクエストに早くしていく為にやるべきことを常に考えています。
ー最後に投資家の皆様にメッセージをお願いします。
アジアクエストには大きなポテンシャルがあり、私自身も会社の成長にとても自信を持っています。先ほども申し上げましたが、ITを通じて日本企業の生産性を変革していきたい。
日本にはまだ、本当の意味で信頼されるITベンダーが少ないと感じており、アジアクエストを真に顧客に信頼されるデジタルインテグレーション領域のアジアNo.1企業へと成長させたいと考えています。
今後のアジアクエストの成長にご期待ください。