ABOUT PROJECT

大日本ダイヤコンサルタント株式会社 様

災害時のリスクシミュレーションを
三次元モデル上で可視化する
Web3DプラットフォームPoC開発支援

大日本ダイヤコンサルタント株式会社様(以下、DNE社)は、橋梁、道路、河川など「社会資本」の整備を目的に、企画から設計、維持管理までの幅広い役割を担う総合建設コンサルタントです。

アジアクエストは、DNE社が実施する「防災減災リスクシステムの実証(PoC:Proof of Concept)」において、Web3D※技術を活用した3D災害シミュレーションシステムの技術調査からインフラ構築、さらにフロントエンド開発に至るまで、包括的なシステム開発支援を行っています。

 ※Web3Dとは
Web3Dとは、ウェブ上で3D(三次元)のグラフィックスを表示・操作するための技術や規格の総称です。この技術は、インターネット上でのインタラクティブな3Dビジュアルコンテンツの展開を可能にし、ゲーム、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)など様々な分野で利用されています。Web3Dの技術は、ユーザーが追加のソフトウェアをインストールすることなく、標準的なウェブブラウザだけで3Dコンテンツを体験できるようにすることを目的としています。

BACKGROUND AND PURPOSE
本実証実験の背景と目的

災害時のリスクを取り入れた道路整備の重要性と
それを実現するためのプラットフォームの開発

近年、激甚化する気象被害や切迫する巨大地震への備えとして、道路施設の防災対策の強化が求められます。橋梁等の道路施設の対策として、施設を単体または施設ごとに計画される「点の整備」だけでなく、道路施設の被災等で発生する道路ネットワークが分断されることによるリスクを減らし、被災時に道路ネットワークを有効に機能させるための「線や面としての整備」の観点も重要と考えられます。災害に強い街づくりを実現させるには、地域を結ぶ道路ネットワークを災害時にも有効に機能させることが重要となります。

この状況を背景に、DNE社では、様々なデジタルデータを用いた定量的評価技術や高度な防災シミュレーションの開発を推進しています。

本開発では、災害情報やハザードマップ、3D地図、施設諸元データなど様々なプラットフォームに点在している複数のデータを一つのプラットフォームに集約し、災害時のリスクを予測、住民に被災状況を通知するといったシステムの実現可能性を検証しています。

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ROLE
役割

アジャイル開発方法によるシステム開発。
週1回のスプリントレビューで着実に実装を進める

アジアクエストは、アジャイル開発を採用してシステムの開発を支援しています。
このプロセスでは、スクラムマスターとプログラマーが週に一度行われるお客様とのスプリントレビューを通じて、技術調査、インフラ構築、およびフロントエンドの開発を進めています。また、細かな確認や報告にはチャットツール(Slack)を活用し、お客様と密に連携を取りながら開発を効率的に進行しています。

 

「PLATEAU」、「xROAD」、「国土数値情報」など
多数のデータを集約し1つの災害予測プラットフォームに

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◾️ 3D都市モデルとデータプラットフォーム

国土交通省が提供している「PLATEAU」と「xROAD」を組み合わせて3Dマップを作成。

※PLATEAUとは‥
日本全国の都市モデルを3Dでオープンデータ化し、主にCityGML形式で提供しています。さらに、多様なデータ形式への変換も行い、幅広くデータが配布されています。

※xROADとは‥
国土交通省道路局によるデジタル道路地図等を基盤として各種データを紐付けるデータプラットフォームです。この一環として「全国道路施設点検データベース」が整備され、橋梁、トンネル等の基礎的なデータ(諸元、点検結果等)が有料公開されています。

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◾️ データ可視化

作成した3Dマップ上に、洪水などの災害予測ハザードマップ「国土数値情報データ」などを視覚化して表示します。

※国土数値情報データ
国土交通省により国土計画の策定や実施の支援のために整備された公開情報です。行政区画、鉄道網、道路網、河川系、地価公示、土地利用のメッシュデータ、公共施設など、国土に関連する多様なデータが含まれています。

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◾️ 主要技術

CesiumJS
※CesiumJSとは‥
ウェブベースの地理空間データの視覚化、分析、共有を可能にするオープンソースプラットフォームのJavaScriptライブラリ。地球規模の3Dマップの表示や分析が行え、リアルタイムのデータレンダリングをサポートします。

◾️ データ互換性とファイルコンバージョン(フォーマット変換)

3Dマップ上で表示する数値情報には様々な拡張子や言語が含まれています。
これらの互換性を保つため、継続的にフォーマット変換と検証を行っています。

◾️データ登録

複数のデータフォーマットをサポートしており、アップロードされたデータファイルは自動的にフォーマット変換され、地図上に描画されます。

◾️API対応

APIを通じて取得したデータの描画にも対応しています。

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「AWS」×「CesiumJS」によるWeb3Dシステムの構築

本システムは、複数のプラットフォームで一般に公開されている3Dモデル(CityGML、3DTiles、FBX、OBJ)や外部データを一つのプラットフォームに集約して高精細な災害予測3Dマップを描画します。

このプロセスのインフラにはAWSを採用。登録されたデータファイルはバックエンドでフォーマット変換されAmazon Simple Storage Service (Amazon S3)に格納、Amazon AuroraのデータベースとAmazon CloudFrontの高速転送で描画が行われます。ロードバランサーを利用することで、安定したデータ処理が可能です。

開発面では、AWS CodePipeline、AWS CodeBuild、AWS CodeDeployを活用し、GitHubでの開発作業を直接デプロイする環境を整えています。これにより、効率的な開発が可能となります。

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BRAND EXPERIENCE
導入による効果

幅広い種類のデータ登録と
滑らかな3Dシミュレーション描画

実際の地形のデータを3D可視化し様々なデータを統合表示することで、災害シミュレーションが行えるようになりました。

◾️機能概要

<3Dモデル登録機能>
ユーザーはフォームを使用して3Dモデルデータを登録し、橋梁や建物などをマップ上に3Dで描画することが可能です。この技術により、デジタルツインを利用したシミュレーションが行えます。

<データ登録機能>
ユーザーがデータファイルを登録することで、3Dマップ上に道路、橋、トンネルなどのインフラ情報が表示されます。各スポットをクリックすると、さらに詳細な情報を閲覧できます。

<災害シミュレーション機能>
この機能では、洪水、津波、急斜面、地滑り、浸水、断層などの災害情報を3Dでシミュレーションし、3Dマップ上で視覚化します。

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青:津波浸水想定区域
赤:急傾斜地崩壊危険区域
黄:地滑り防止区域(国交省)
緑:地滑り防止区域(農水省)

OUTLOOK FOR THE FUTURE
今後の展望

よりビジュアライズされた
ダッシュボードと検索機能

今後は以下の機能追加を予定しています。

大容量データ処理
点群表示(LASデータ)を3DTiles形式へ変換しアップロードする機能を追加します。これにより、より大規模なデータセットの処理が可能になります。

より充実した検索機能
さらに充実した検索機能を開発します。長さ15m以上の橋梁など、特定の条件を満たす施設の検索も含まれます。

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TESTIMONIAL
お客様の声

お客様のご感想

プロジェクトの初期段階より、スピーディーに開発を進めていただきました。本開発では、開発期間が限定されていたことにより、細部の仕様が決定できない状況にありました。その中で、アジャイル開発により、必要な機能の優先順位の検討や技術調査を実施したうえで、実装に必要なインフラ構築およびフロントエンドの開発を行い、ビルディングブロック方式的に1つずつの機能が完成していきました。それらが積み上がることで一定のプロジェクトとして完結することができました。
これらの開発を実現できたことは、スプリントレビューを通じて、開発の進捗確認、弊社の要望を相互に確認できたことが要因と思います。細かい要望に対して、具体化した結果を示す『提案力』、その背景となる『技術力』と『管理体制』に支えられました。
アジャイル開発を通じて、目に見える機能を積み上げてプロジェクトを完成させる。アジアクエストは、それを一緒に支えてくれる会社です。

           
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アジアクエスト株式会社について

アジアクエストは、企業のDXを支援する「デジタルインテグレーター」です。通常のシステムインテグレーションだけではなく、お客様のDXを共に考えるコンサルティングから、DXに必要なデジタルテクノロジーを駆使したシステムの設計、開発、運用までを一貫して請け負います。
IoT、AI、Cloud、Mobile、Web、UI/UXの各デジタル分野の専門テクノロジーチームを有し、お客様のゴールに向けて最適なプロジェクトチームを編成します。DXに関する豊富な知見と幅広い技術力により、ビジネスモデルの有効性や技術的な課題を検証する為のPoCの実施やデジタルに対応した大規模なシステムの構築まで、スピーディーな対応が可能です。